商標審査のプロセス
出典)特許庁ホームページ
商標審査のプロセスは、概ね次の通りです。
1.先行商標調査
2.商標登録出願
3.出願公開
4.拒絶理由通知
5.意見書・補正書
6.登録査定
7.登録料納付
8.商標登録・商標権発生
9.商標権更新
以下、一つずつ解説します。
1.先行商標調査:
出願の前に、特許庁の公開データベース「J-PlatPat」で、商標が先願主義をクリアしているかどうかを確認します。
ただし、J-PlatPatはお世辞にもユーザーフレンドリーな代物ではありません。
遺漏なく調査するためには、商標専門の弁理士に依頼しましょう。
2.商標登録出願:
出願の日に先願権が確保されるので、商標が決まったら1日も早く出願すべきです。
なお、商品やサービスのネーミングが決まったら、すぐに「標準文字」で出願しましょう。
標準文字とは、特許庁が定める標準的な書体を用いた文字商標です。
標準文字で商標登録すれば、同一又は類似の称呼を発する他の書体の文字商標やロゴマーク(図形と文字の結合商標)にも、商標権の効力(排他権)が及びます。
したがって、特定の書体やロゴマークが決まるまで出願を遅らせる必要はありません。
逆に、特定の書体やロゴマークが既に決まっていて、今後変更する予定がないなら、その形で出願してもよいでしょう。
®️マークをつけることが許されるのは、登録商標だけだからです。
3.出願公開:
出願内容は、出願後すみやかに特許庁によって公開されます。
J-PlatPat上に現れるのは、出願から約1か月後です。
出願公開によって、その商標が先願権を確保していることが明らかになるので、他人による同一・類似の商標の出願を牽制・抑止する効果があります。
その一方で、出願された商標が登録されることを妨げたい他人から、否定的な情報が特許庁に提供される可能性が発生します。
4.拒絶理由通知:
出願から約7か月後に、審査結果が通知されます。
出願が登録要件を満たさないと審査官が判断した場合、拒絶理由通知が代理人の弁理士に届きます。
統計によれば、拒絶理由通知を受ける確率は、全出願の6割に及びます。
拒絶理由通知を放置すると出願は却下されてしまうので、40日以内に、意見書・補正書を提出して対応する必要があります。
5.意見書・補正書:
運悪く厳しい審査官に当たって、拒絶理由通知を貰ってしまった場合は、意見書・補正書を提出して法的に反論します。
又は、審査官の指摘を受け入れて、拒絶理由が解消するように、指定商品役務を減縮補正します。
この意見書・補正書で、半数以上の拒絶理由通知は覆るという統計があります。
しかしこの意見書・補正書は、商標法の条文を熟知していないと書けるものではありません。
拒絶理由通知を覆して登録査定を認めさせるためには、商標専門弁理士に依頼しましょう。
6.登録査定:
拒絶理由通知を受けない場合は、出願日から約7か月後に登録査定通知が届きます。
また、拒絶理由通知を受けて意見書・補正書を提出した場合は、それに審査官が納得すれば数週間後に登録査定通知が届きます。
逆に、審査官を納得させることができなければ、拒絶査定通知が届きます。
拒絶査定に出願人が納得できなければ、お金はかかりますが拒絶査定不服審判を請求することができます。
7.登録料納付:
登録査定通知が届いてから30日以内に、10年分の登録料を一括納付します。
登録料は、3万2900円 x 区分数となります。
よって、区分数に比例して登録料は膨らみます。
この時点で、不要な区分を削除して登録料を節約することができます。
また、ライフサイクルの短い商品・サービスについては、若干割高になりますが5年分を分納することもできます。
8.商標登録・商標権発生:
登録料の納付によって、商標登録がなされます。
商標登録とは、特許庁が商標原簿に商標権の設定の登録をすることです。
商標登録によって商標権が発生し、出願人は晴れて商標権者となります。
9.商標権更新:
商標権は10年間有効ですが、10年ごとに何度でも更新できます。
更新手続は更新料の納付のみでよく、無審査です。
更新料は、4万3600円 x 区分数となります。
商標権者は、10年ごとに更新料を支払うだけで、ブランドの独占排他権の利益を半永久的に享受できるのです。
更新手続ができる期間は、商標権が切れる半年前からです。
なお、10年は結構長いです。
うっかり更新手続を忘れて商標権が失効してしまった、ということにならないよう、信頼できる商標専門弁理士に、期限管理を任せることをお勧めします。
以上が商標登録のプロセスです。
最大のポイントは、拒絶理由通知を受けてもそこで諦めないこと、です!